庭園で愛全開の「ケイト・スペード」にほっこり 「ラルフ」の社交界にも潜入

皆さん、こんにちは。2020年春夏ウィメンズ・コレクションが開幕しましたね!編集長ムラカミは、ニューヨークとミラノ担当。メンズ・コレクション期間中には一部マニアの方に「こんなにドタバタなの?」とか「案外本音、ぶっちゃけてるね」と好評でした(多分)ドタバタ日記を2つの街でも繰り広げてみたいと思います。実はもうNYに滞在して3日目なんですが、昨日と一昨日は大してドタバタせず平穏に過ぎていきましたので、今日から本格スタートです!

本日最初のショーは、日本での代理店も決まった「セルフ-ポートレート(SELF-PORTRAIT)」。このブランドと言えば、複雑に見えるアシンメトリーのドレス(案外お手頃)にフリルの装飾です。今季は、さわやかなコットンポプリンにレースを組み合わせた「夏、全開!」ドレスです。爽やか~。

そんなアイテムに組み合わせたのは、出ました!2019-20年秋冬シーズンに「セリーヌ(CELINE)」のエディ・スリマン(Hedi Slimane)様が提案したキュロット!「セルフ-ポートレート」は、レザーとレースを組み合わせ、サマードレスと同系色でまとめています。秋冬のキュロットはあまりに唐突な登場だったせいか、バイヤーを中心に「うむ……(沈黙)」的な反応もありましたが、トレンドはこうやって広がるのですね。

お次は「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」。会場は屋外、ノリータの庭園です。「(クリエイティブ・ディレクターの)ニコラ(・グラス Nicola Glass)、晴れてよかったね!」と一声掛けたくなるほどのピーカンです。何せ昨日は、カテゴリー4の台風がニューヨークをかすめ、あいにくの天気で激寒でしたから。

会場に入ると、ステキなバッグのプレゼント。ショーでも多くのモデルが、同じバッグを持っていました。

ステキなガーデンパーティーのような会場は、ショーの後は一般開放。そこでは、ランウエイを彩った観葉植物を販売し、売り上げを庭園の維持費に寄付するそうです。なんかほっこりするし、「ケイト・スペード」っぽく「ラヴい」!!お隣が山田優さんで、カワイさ、さらに倍してドン!そんな空間です。

おばあちゃんから妊婦さん、レズビアンのカップルまでが登場したコレクションは、ボタニカル柄でストレスフリーのドレス、明るい色とラメでウキウキしちゃうツイードのジャケット、そして、ちょっぴり肌寒い時にサイコーなカーキ色のトレンチやキルティングコート(でも、素材は柔らか)など。バッグは、定番の素材をカゴに代えたり、なんでも入れられるビッグトートだったり。気取らないけど、フツーじゃない。オシャレだけど、頑張らなくて大丈夫。そんなマインドにあふれています。快晴のサタデーモーニングの庭園という会場の魅力も加わり、幸せな気分になりました。

さぁ、近いのでセレクトショップの「トトカエロ(TOTOKAELO)」に行ってみましょう。ここでは、著名ブランドのコートを中心にパターンを手掛けるプロ集団、大丸製作所2が、オリジナルブランド「オーバーコート(OVERCOAT)」のポップアップ開いています。

ソーホーのショップに入ると、出迎えてくれるのはPVCの自由の女神。洋服同様のクリエイションでオブジェができちゃうのは、さすが緻密な計算に長けたパターンの天才の才能です。

 あぁ、早くオーダーした秋冬を着るのが楽しみ。今回、鮮やかなオレンジのシャツをトランクに忍ばせてきたので、近々お披露目したいと思います。

さぁ、一瞬ホテルに戻って、荷物を入れ替え。お次は「アディアム(ADEAM)」です。得意の襟抜き、アシンメトリーとマリンを融合。前回より肩の力が抜け、全体的にクリーンなまま、でもシンプルじゃない洋服に仕上がっていました。前回より全然「良き」です。

デザイナーが代わり、オリジンのシャープ&ミニマル路線に戻りつつある「ヘルムート ラング(HELMUT LANG)」。今シーズンも90年代を思わせるシンプリシティです。

ごくごく薄いチュール、メタリック素材を編み込みほんのり光沢を放つリブニット、もっとビカビカなシルバーレザーに大理石プリント施したブルゾン、シリコンコートなど、さまざまな素材を使い、ピュアホワイトからカーキ、ネオンイエローやブルーのスタイルを提案します。なんだか“てんこ盛り”みたいに聞こえますが、クロップド丈のジャケットやブルゾン、スキニーパンツとスタイルはアイコニックに徹しているので、“とっ散らかってる”感は皆無です。本音を言えば、また「ラング」らしい衝撃的な新しさを目撃したいところですが、過去数年で揺らいでしまったアイデンティティーを取り戻すステージとしては、今回も十分合格点です。唯一過去に引きづられているのは、時間通りに来ないストリート世代、でしょうか(笑)。ここはソーホー。次は、アップタウン。結構遠いのに、アイツらのせいで押しちゃった。移動中、ソワソワする時間帯に突入です。

パリのメゾンは、さすがであります。「ラング」で押した時間を、スムーズに、見事に取り戻しました(笑)。こちらの会場は、今季珍しいアップタウンのリンカーンセンター。またも屋外です。晴れてよかったね!

これもエディ様の影響でしょう。今季は、なんだかボトムスを中心にコンパクトなシルエットが主流派になりそうです。「ロンシャン(LONGCHAMP)」も、その一例。エディ様がキュロットなら、ソフィ・ドゥラフォンテーヌ(Sophie Delafontaine)は、ブルマーです。若っ!

「いや、コレはオトナにはムリだろう」と思ったアナタ。ご安心ください。ホッパン(ホットパンツ)&ブラトップの合間にはちゃんと、マキシのドレスも現れます。レースのアップリケの使い方、ボルドーを中心とするオトナなカラーパレットは、だいぶ「ロンシャン」のアイコンとして定着してきました。ミニなスタイルに呼応して、バッグもみんなミニサイズです。定番バッグの“ル・プリアージュ”も、レザーでちっちゃくなってました。値段が抑えられたら、これはヒットするかも!

この辺りの新人組に行くべきか、いかざるべきか?それは常に「WWDジャパン」記者としての悩みどころです。「WWDジャパン」は、プロフェッショナル・メディア。ゆえにどんな媒体よりも多くのショーを取材したいところですが、そのせいで重要なショーに間に合わなくなるのは、本末転倒。そんな逡巡(しゅんじゅん)にさいなまれるのです。

特に「クリスチャン シリアノ(CHRISTIAN SIRIANO)」は以前の経験から、洋服はそんなにイケてないことが予想できます(苦笑)。でもTV番組「プロジェクト・ランウェイ(PROJECT RUNWAY)」からデビューした彼は、ダイバーシティーな感覚に溢れるデザイナーゆえ、見ておきたい気持ちも。そこで今回は、拝見です。

 で結果は、正直失敗。クリエイションは引き続きイマイチだし、プラスサイズ&おばあちゃんモデル以外はそれほどダイバーシティーでもなく、オマケにメチャクチャ長い!

 30分に及んだショー会場をダッシュで去り、ミッドタウンからダウンタウンに。「エリア(AREA)」のショー会場に遅刻気味でたどり着くと、案の定、若手ブランドらしいオペレーションの悪さが露呈して、今シーズン初のカオスな混雑が待っていました。

ヤバいよー。コレは……。ニューヨークでは「ジェレミー スコット(JEREMY SCOTT)」や「クロマット(CHROMAT)」「ジプシー スポーツ(GYPSY SPORTS)」あたりのブランドがこんなカオスをたびたび生み出し、「チケットがあるのに入れない」という悲惨な目に遭ったことさえ何度かあります。今回も、その予感が(苦笑)。

そこで発動したのは、“コソ泥外国人”モード。行列の隙間を見つけたら、シレ~っと潜り込み、おしゃべりに夢中なアメリカ人グループがいたら黙って横入り、何か言われたら「はて、英語が分からなくて……」という顔でごまかすモードです(笑)。これにより大幅なカットインに成功し、自分のシートになんとか到着‼︎そんな努力の結果たどり着いた「エリア」は、洋服自体は凡庸でしたが、スワロフスキーのチェーン使いは新しい。ナチュラルメイクが当たり前の街において、これだけのガッツリメイクは可愛らしく、頑張った甲斐がありました(笑)。

このブランドは、もっと評価されて良いと思うのです。メチャクチャかわいいし、ニューヨークでは「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEWYORK)」や「バーグドルフ グッドマン(BERGDORF GOODMAN)」なんかが取り扱っているのに、日本人はほとんど来ない……。

そんな「R13」のショーは、今回もギャンカワでした。レオパードやファイヤーモチーフのシャツに、ダメージデニム。そろいのバケットハットと厚底スニーカーも「良き」です。ただ、洋服がスゴいと言うよりは、スタイリングがイケてるブランド。何気ないシャツが1000ドル(約10万6000円)とかしちゃうから、どメジャーにはなれないかな。

さぁ、今日の大トリは、ラルフさん!19-20年秋冬の「ラルフ ローレン コレクション(RALPH LAUREN COLLECTION)」です。

今回の会場は、いわゆる金融街のファイナンシャル・ディストリクト。会場に入ると、そこはお金持ちの社交場のようになっておりました‼︎生バンドだし、スペシャルカクテル出てくるし、何よりみんなブラックフォーマルだし(思いっきりこの夏の「ポロ ラルフ ローレン」と「ビームス」のコラボキャップとショートパンツで来ちゃいました(汗))。でもこれが、アメリカン・ラグジュアリーを体現する「ラルフ ローレン コレクション」の世界です。

コレクションは、そんな大人の社交場にピッタリな、マニッシュなセットアップからドレスまでイヴニングウエアが目白押しです。上質なサテンをたっぷり使いエレガンス全開ですが、ドレスの背中はバックリ空いていたり、スリットは深かったり、ドレスをレザーとレースで切り替えしたりとラルフさん、なかなか攻めています。扇情的でセクシーです。

フィナーレには、新世代の歌姫、ジャネール・モネイ(Janelle Monae)が登場。彼女も19-20年秋冬のドレス&ジャケット姿でしたが、パフォーマンスが続くにつれてジャケットを脱ぎ捨て、背中が開いたノースリーブのイヴニングシャツにチュールスカートというセクシー・エレガントな姿に変身。彼女らしい若々しさにみなぎっています。なるほど、今回のイヴニングは、アクティブな新世代への贈り物でもあったんですね。

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